本から学ぶ 知識と経験の宝箱

本を読んで知識を広げよう

猫の本屋ができるまで

猫の本屋ができるまで

 

を読みました。

 

夢の猫本屋ができるまで Cat’s Meow Books

 

1 概要

 

本書は、約250軒の本屋さんを取材してきた

井上理津子さんが

「キャッツミャウブックス」について取材した本。

 

「キャッツミャウブックス」は、

本を紹介するゲーム「ビブリオバトル」の世界で

レジェンド的存在の安村正也さんが

2017年の夏にオープンした、猫の本の専門店。

ねこカフェではなく、

猫が本屋を助け、本屋が猫を助ける、というお店です。

 

安村さんの願いは、再び町に本屋が増えていくこと。

 

本好きの私が、

これからの本屋さんはどうやっていくのだろう?

継続していくにはどうしたらいいのだろう?

と思いながら本を探していて、たどり着いた一冊です。

 

本屋さんだけでなく、

法律事務所を経営する私にもヒントになる学びがたくさんありました。

 

2 学んだこと

 

(1)柱になった4つの事柄

 

安村さんは、柱になった4つの事柄として、次の点を挙げておられます。

 

①本だけ売っていても採算が取れないので「本×○○」の掛け算にし、その要素は、ありきたりのモチーフではないこと。

②別の職業を持っていることを強みにし、しばらくその職業を辞めないこと。

③メディアの取材記事にとりあげてもらいやすいように、コンセプトを固めること。

④広報手段に、名刺、ロゴ、ウェブサイトを持つこと。

(P18)

 

本屋さんだけでなく、他の業種にも参考になる重要ポイントだと思います。

 

掛け算の視点、

「取材記事にとりあげてもらいやすい」という視点、

を持とう。

 

 

(2)掛け算について思うこと

 

猫と本とビール。

好きな物の掛け算が仕事になるって素敵。

 

1つで成り立たない時、

無理だと諦めるか、

何かを掛けて新しい価値・魅力を作り出そうとするか。

 

後者でありたいなと思います。

 

さて私は、法律事務所に何を掛けようか?

 

 

(3)パラレルキャリアについて思うこと

 

復業、ではなく「パラレルキャリア」。

 

両方の仕事が、精神的な意味を含めて互いに補完しあっていて、

主従がないニュアンス。

 

安村さんは、

働くということは、社会における自分の居場所を得ること、

とおっしゃっています。

新たな居場所ができて、承認欲求が満たされた、とのことでした。

 

私も、今の弁護士という仕事を辞めたら、

居場所を失ったように感じるだろうから、

複数の仕事・居場所を持っていたいなと思います。

 

母親として子に求められる、というのも

ずっとではないからなぁ。

子が親離れしたとき、居場所を失ったと落ち込まないように

仕事も頑張ろう!と思います。

 

 

(4)コンセプトについて思うこと

 

「ビジネスの中で儲けたお金で猫を助ける」

というコンセプトが素晴らしい。

 

安村さんは、

幸せになる猫や犬を増やすために、自分なりの手伝い方が

誰にでもあるということを知ってほしいと考えて、

プロジェクトを立ち上げました。

 

ここから学んだのは、

「すごく大きなこと・大きく社会を変えること」でなければいけない、

という思いは、行動を制約してしまう、ということ。

 

継続的でなくてもいい、

1回きりでもいい、

とにかく何でも良いから小さな一歩を踏み出すこと。

自分なりの手伝い方がある、ということです。

 

「同じ本を買うなら

猫のためになるキャッツミャウブックスで買いたい」と、

わざわざ遠くから足を運んでくださるお客さんもいらっしゃるそうです。

この一歩がとても素敵だなと思いました。

その一歩を踏み出しやすい仕組みを作ったことも

とても素晴らしい。

 

自分がいつもしていることが、

自分が役に立ちたいと思っている人のメリットになると思うと、

「いつもしていること」自体に

価値を感じることができるので、嬉しいですよね。

 

 

(5)外へ!

 

安村さんは、

「キャッツミャウブックス・ブランドで、

いずれ外へも出ていきたいんです」

と語っておられます。

例えば、他店から猫本の選書を頼まれる。

猫本について語ってくれるように依頼を受ける。

猫本の専門家として、外に向かって歩める日を密かにまっているのだそう。

 

いろんなニーズがあって、いろんな専門家がある。

ニッチにいこう。

つきつめよう。

アピールしよう。

と思いました。

 

 

3 備忘録

 

ビブリオバトル「知的書評合戦」を初めて知りました。

 本人以外がほめること、

 魅力を言葉にすること、

 ゲーム化すること、

という人を惹き付けるための要素の集合体のようだと感じました。

他己紹介の活用」をしてみよう!

 

・イベント!

「本を媒介に知的好奇心を刺激してくれるイベント」開催に学ぶこと。

私も、イベントを開催しよう。

売れない、人が集まらない、と嘆くのではなく、

買ってもらうための場を作る。

買いたくなる仕掛けを考える。

 

・言葉にしよう。

 猫に会いに来ることで知らなかった本とも出逢える

 本を買うことで猫を助ける活動の支援もできる

 本を読むことで猫をもっと好きになれる(P98)

この部分を読んで、

価値を言葉にすることって、重要だなぁと感じました。

もっと、言葉にしよう。

 

 

学びの多い一冊でした。

本屋さん、本屋さんを目指す人だけでなく

全ての経営者のみなさんのヒントになると思います。

 

 

 

 

 

2021.9.9

(2021年26冊目)